1月7日 兵士の故郷 |
ひさしぶりに読書をした。
ヘミングウェイの「Soldier's home」(兵士の故郷)。
英語は疲れる。 日本語版を読めば良かった。
以下、概要。
主人公クレブズは、キャンザス州のメソディスト大学から戦地に赴いた。
クレブズは1917年に海兵隊に入隊し、
1919年の夏になって、ようやくアメリカに帰国した。
クレブズがオクラホマ州の故郷に帰還したときには、
勇敢な戦士たちに対する歓迎はすでに終わっていた。
この町から徴集された兵士たちは、
いずれも帰郷した際に熱烈な歓迎を受けていたが、
クレブズは戦後数年もたって帰還したため、町の人間はもう熱が冷めていたのだ。
むしろ、戦後数年もたって戻ってくるのは滑稽だと思っているようだった。
彼の帰還は遅過ぎたのだ。
クレブズが自分の体験した戦争の話をしようと思っても、
聞いてくれる人間は誰一人としていなかった。
町の人間は、いまさら現実の体験談を聞かされても面白がる事は無かった。
彼らに話を聞いてもらうには話を誇張しなくてはならなかった。
しかし、虚偽や誇張を語るたびにクレブズは吐き気を催すようになる。
嘘をつくことで、戦争で体験したすべてのことに対する嫌悪感が生じたのだ。
彼はすべての気力を失い、ビリヤードと読書で毎日を過ごした。
女性を求めたい気持ちはあっても、わざわざ見つけに行くもの憂さがまさってしまう。
そんな生活を送っている中、ある日、母親から働くように言われる。
「神さまは人間誰もが仕事をすることをお望みなのだよ。
神さまの支配する王国に、なまけものは一人だっていてはいけない。」
それに対し、
「ぼくは神の王国にはいない。」
と言い返し、
「かあさんを愛してくれていないのかい?」
という質問に
「うん。」
と答える。
さらに
「誰も愛していないんだ。」
とつけ加える。
母親が泣いている姿を見て、哀れに思い
「本気ではなかったんだ。」
と嘘をつく。
クレブズは、愛情を問題にする母親に辟易し、吐き気を感じた。
戦場という極限状態の中で自由感を獲得したため、
それが得られない故郷の町では生活できなくなってしまったのだ。
クレブズは、故郷を離れることを決意する。
大衆の中に存在する「個」という存在は、こうもはかなく、弱いものなのか。
己の存在を無視され、世間から置き去りにされてしまった
祖父や祖母達を考えさせられるものがあった。
なんとなく彼らの声が聞きたくなって実家に電話をした。
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