おにぎり
   <レシピ>

1、4日間何も食わない。

2、食べる。

 

 

 

 

どうすれば美味しい物が食べられるだろうか?

高いお金を払って、懐石とかコース料理の店に行けば

ある程度、美味しい物を食べることが出来る。

 

しかし、それは本当に美味しい物なのだろうか?

という疑問が頭をよぎる。

食前酒を飲み、前菜を食べて・・・

本当にそれが美味しい物なのだろうか?

 

 

 

オレは、涙を流し、この世に生まれてきて良かった!

と感激するような『本当に美味しい食べ物』を食べたいのである。

見せかけだけ、仮初めの夢など見たくはない。

見た目、値段、・・・そんなことに惑わされてはいけない。

 

本当に美味しい料理、これを求めようと思う。

 

 

 

そして、料理を引きたてる物に「スパイス」という物がある。

日本語にすれば、香辛料とか薬味と呼ばれる物だ。

最高のスパイスを用いれば、最高に美味しい料理が出来るのではないだろうか?

それこそ、『真に美味しい食べ物』なのではないか?

 

 

 

 

知っている方も多いと思うが、

最高のスパイスは、『空腹』である!

と、昔から言われている。

 

 

最高のスパイスである「空腹」を用いれば、

オレの求めている真実の美味しさに出会えるのではないか!?

 

もはや、当たり前のことのようになっているが、

TVの電○少年などでは数日間、何も口にしない人間がいる。

彼らは、その数日間で最高のスパイスである「空腹」を

手に入れ、最高に美味しい食べ物を食べているのだ。

 

事実、彼らが数日ぶりに物を食べる姿は本当に美味しそうだ。

涙を流して食べていた者もいた。

 

 

 

そこで、私は決意したのだ。

 

数日間、断食を行い、最高のスパイス「空腹」を手に入れよう!

そして、最高に美味しい物を食べるのだ!

 

 


 

では、詳しい計画を立てていく。

 

まず、何日間断食をすれば良いのか?

1日や2日ではだめだ。

そんな生易しい考えでは最高のスパイスを手に入れることなんて出来ない。

 

4日間でどうだろうか?

最後の食事を取ってから、丸4日間。

つまり96時間の断食を行った後に食べる。

 

 

しかし、何も食べないでいると死んでしまう可能性がある。

死んでしまったら美味い物を味わうことが出来なくなる。

それはダメである。

という訳で、本当に何も食べないというのは止めておこう。

 

 

水と塩さえあれば、人間は1週間生きていられるらしい。

そこで、『水』と『塩』。

これは口にして良いとしよう。

 

ただし、いくらでも飲んで良い、としては意味がない。

水をがぶ飲みしていては最高のスパイス「空腹」を得ることが出来ないからだ。

 

心を鬼にして、こう決定する。

『水』は、4リットル。

『塩』は、小さじ4杯。

これしか、4日間で口にすることは許されない。

 

つまり、1日に水は1L、塩小さじ1杯で生き抜くのだ。

それが出来た時、本当の美味しさに出会えるはず!

 

 

 

 

 

もう一つ、重要なことがある。

断食が終わった後に何を食べれば良いのか?

これも決めておかなくてはならないであろう。

 

高いお金を払って食べに行くのはやめておきたい。

普段、何気なく食べている物を、最高のスパイス「空腹」を用いて

最高の食べ物に変身させたいのだ。

 

と、いう訳で普段から何気なく食べている物である、

『おにぎり』

これを食べることにした。

 

 

 

 

それでは、準備のために水を買ってきましょう。

『南アルプスの天然水』

この2リットル入りペットボトルを2本購入。

さぁ、準備は整いました。

 

カウント開始は、今日の夕飯を食べてからとします。

断食をはじめたら3月15日まで水と塩だけで生きていくことになります。

ご飯も、肉も、野菜も、大好きなコーヒーやケーキも食べられません。

お酒なんてもってのほかです。

 

最後の思い出(?)として夕飯は思いきり食べましょう。

なるべくここでカロリーを摂取して温存しなくては!

 

まずは焼肉屋に行く。

石焼ビビンバ、カルビ、冷麺、ビールなど食えるだけ食べる。

かなり食べ過ぎで気持ちが悪い。

しかし、これからのことを考えておくと、まだ食べ足りない。

甘い物も食べておきたいのでケーキを買いに行く。

苺のレアチーズとティラミスを購入。

部屋に戻ってすぐに食べる。

焼肉にケーキ、体験したことが無いほどたくさん食べた。

かなり気持ちが悪い。

正直吐きそうだ。

 

しかし、これだけ食べれば何も食わなくてもしばらく大丈夫じゃないか?

 

 


 

3/11(月)  20:00

 

さぁ、ついに断食開始である!

これからは数時間ごとに定期的に体調報告をする。

 

まず、体調としてはとにかく気持ち悪い!

食べ過ぎで腹も痛いぞ。

しかし、ビールを飲んだせいか気分は良い。

ちょっとハイテンション気味である。

 

 

体重も計っておこう。

 

世の中には食事制限もせずに痩せたいと叫ぶデブのやつらがいる。

はっきり言って、オレはそんな人間は嫌いだ。

本当に痩せたいならば、病気でもない限りダイエットするはずだ。

ダイエットもせずに、おなかがたるんできて大変だ。

今まで着ていた服が着れなくなった。

そんな、デブ自慢なんて別にオレは聞きたくない。

 

「最近、太ってきて困る。」

あぁ、そうですか。

だったらダイエットしろ!

食事制限しろよ!

そう言ってやりたい。

本気でダイエットしたことの無いヤツは、

オレのこれから4日間の生き様を見るがいいさ。

微妙なデブ自慢を会話のネタにするくらいなら、せめてダイエットをしてからにしろ。

ダイエット自慢の方が聞いている側としては面白いぞ。

 

 

 

いけない、いけない。

酒のせいだろうか?

愚痴モードに突入するところだった。

とりあえず体重を計ろう。

56.2kg。

これが今現在の体重である。

 

これから4日間で、どのように変化していくのだろうか?

ちょっと楽しみだ。

リバウンドが恐いけど。

 

 

 

 

3/12(火)  7:45

 

起床。

目が覚めて、いつものようにトイレに行く。

トイレから戻ってきて、お茶でも飲もうかと思い、急須に茶の葉を入れる。

私の好きな無印のフレーバーティーだ。

茶の葉を蒸らし、いい匂いがしてくるとともに自分の意識もしっかりしてくる。

 

あぁ、今断食してるんだ・・・ と。

 

残念だが、せっかく入れたお茶は飲むことが出来ない。

甘い匂いだけ楽しんで流しに捨てる。

はぁ・・・。

気分が悪いぜ。

オレに飲めるのは「塩」と「南アルプスの天然水」だけだったんだ。

 

 

意識もしっかりしてきた所で、まずは体調報告。

昨日の夜は、恐らく食べ過ぎのため非常に腹が痛かったのだが、

今日はもうだいじょうぶだ。

むしろ、いつもより調子がいいくらいだ。

 

体重計測。

55.7kgであった。

スタートより、0.5kgの減少である。

やったね。

まぁ、あんなに食べた直後の体重だから、はっきり言って、

オレ本来の体重とはかなり違うのだろうが。

 

 

体重も計った所で、朝ご飯にしようか。

メニューはこんな感じです。

     

 ・ 南アルプスの天然水 約150ml

 ・ 食塩

以上。

 

分かっていたことだが、なんだか情けないメニューである。

まぁ、とりあえずは食べてみよう。

南アルプスの天然水を飲んでみる。

うむ。美味い。

やっぱり水道水よりこっちの方がいいな。

田舎の方に住んでいるオレでも水道水との味の違いが分かる。

 

塩はどうだろうか?

小皿に今日の分の塩、小さじ1杯を盛っておく。

これをちょっとずつ舐めていこう。

舐めてみる。

うむ。 まぁまぁ。

一気に食べず、ちょっとずつ食べればミネラルの味もしてなかなか美味しいぞ。

実はこの塩、以前の生食に使った塩と違うんだよね。

天塩とかいうちょっと値段の高めのヤツなのだ。

でも、あんまり調子に乗って舐めていると今日の分が無くなってしまう。

この辺でやめておこう。

 

 

 

3/12(火)  10:00

エンリケ=イグレシアスのHEROを聴きながら洗濯をする。

I can be your hero baby.  I can kiss away the pain.

体を動かしていたら、だんだんと腹が減ってきた。

普通ならこの辺で茶でも飲みながらお菓子を食べる所なのだが

そこは我慢、忍耐である。

泣き言は許されないのだー!

 

今日は図書館に行って調べたいことがあるので、

もう200ml水を飲んで出かける。

 

 

 

 

3/12(火)  18:00

帰りに古本屋に寄る。

断食中に下手に体を動かして余計なカロリーを消費してはいけない。

本でも読んで静かにしているのがいいだろう。

ジョアン・ハリスの『ショコラ』を購入。

すべての人を幸せにしてしまう不思議なチョコレートを売る母娘の物語。

 

物が食べられない今は、空想上で何か食べるべきだろう。

オレは甘い物が大好きなのでこの本を読んでチョコを食べた気になろう。

素晴らしい作戦である!

 

 

 

3/12(火)  21:00

ドラマを見る。

 

本気で腹が減ってきた。

それと同時に、少し腹が痛くなってきた。

胃酸の関係だろうか?

胃のあたりがキリキリと痛む。

気休めに水をがぶ飲みする。

水を飲んだら、少しは落ち着いた気がする。

でも、早くも1日目でこの調子かよ。

先が思いやられるぜ。

 

体重計測。

55.9kg

朝より少し増えている。

まぁ、水を飲んだ直後だからこんな物だろう。

 

 

 

3/13(水)  8:30

 

起床。

目が覚めるが、昨日1日何も食べてないわりには食欲がない。

早くも体がおかしくなってきたのだろうか?

まぁ、食欲が無い方があと3日持つから助かるんだけれど。

 

窓を開けて深呼吸。

すーはー。

いい気持ちである。

太陽がまぶしいぜ。

 

とりあえずは太陽に吼えておこう。

「うおおぉぉー、 腹が減ったぞー!」

空を見ていたら、だんだんと意識がしっかりしてきたのだ。

腹が減ってきた。

つらいぜ、ホントに。

 

とりあえず、朝飯を食おう。

腹もギュルギュルと鳴っていることだし。

 

メニュー

  ・ 水 150ml

  ・ 塩 少々

以上である。

食べ終えた所で、今朝の体重報告。

55.5kg。

 

 

 

今日は、仕事も友人との約束も何も無い。

部屋でのんびりと昨日買って来た『ショコラ』を読むことにしよう。

窓際でイスに座って、ジャズを聴きながら読み始める。

今の状態に、うまいエスプレッソと、甘いチョコさえあれば無敵なんだがなぁ。

 

 

 

3/13(水)  13:00

やばいぞ、『ショコラ』。

この本は危険すぎる。

文中のそこかしこにお菓子の甘い匂いがする。

だめだ。 読んでるとどんどん甘い物が食べたくなる。

あああああああああ!

なんで、この本はこんなにもお菓子をうまそうに書きやがるんだ。

中身結構どす黒いくせに、なんだこの描写は!

オレを狂い死にさせる気なのか?

おぉ神よ。 たのむから早く3月15日の8時にしてくれ。

オレはもう限界だ。

早く甘い物が食いたいんだよー。

15日の解禁時間になったら、速攻でお菓子を食いまくってやる。

とりあえずはチョコだ。板でも粒でも液体でもなんでもいい。

とにかく口の中にチョコレートを放り込みたい。

 

だー!

もうやめだ、やめ!

この本、封印!

 

 

 

 

ちょっと気晴らしに外に出かけよう。

その辺をぷらぷらするために自転車で出かける。

 

ふと、思い付く。

レンタルビデオを借りてきて映画を見よう!

「A・I」がレンタル開始されている。

オレはまだ「A・I」を見ていないのだ。

結構面白いよ。という噂を聞いていたのでまずこれを借りることにした。

他にも何か借りよう。

ただし、美味しそうな映画は危険だ。

「ショコラ」の例もある。

何かを美味しそうに食べる映画は今のオレにはきつすぎる。

 

ぽお〜っと、店内をうろつきながら見る映画を探す。

結果、「A・I」の他に、この2つを借りることにした。

 「キャストアウェイ」

 「ハンニバル」

 

「キャストアウェイ」は、飛行機事故にあった男が無人島で暮らし、

そこから故郷に自力で帰ろうとする話だ。

今のオレの気分は無人島生活に近い物があるのではないか?

 

「ハンニバル」は、レッドドラゴン、羊達の沈黙の続編である。

オレは一度映画館で見たのだが、その時、気持ちが悪くなり

食欲がなくなってしまった経験があるのだ。

これを見れば食欲がなくなり、いい感じに断食が続けられるはずだ。

 

 

 

うむ。 我ながら良いチョイスである。

っつー訳で今から「A・I」の鑑賞を始める。

体重  55.4kg

 

 

 

3/13(水)  18:00

「A・I」を見終わる。

えっとね。

一言で言っちゃうとイマイチ。

あの監督の他の作品をいくつか見ているとちょっと面白みに欠ける。

もうネタにつきているのかな?

あっためかえしの部分がいくつかあった。

しかもオチが気に入らない。

10段階評価で言えばおまけで6くらいですな。

でも、セックス・ロボットの彼がいい味だしていた。 彼は最高。

 

とりあえず、もう1回巻き戻して見直す。

ジャンクフェアのシーンは、漫画「銃夢」の重なる部分がある。

どうでもいいが、これから見ようとしている「ハンニバル」も

「銃夢」に近い物があるな。

両方とも、一言で言ってしまえばラブストーリーだし。

脳みそ出てくるけどね。

 

 

 

うむ。

ビデオを見ていると精神が全部、映画の方に向くので

空腹感をあまり感じないぞ。

いい感じだ。

しかし、こうやって更新をするためにパソコンを開いていると

どんどん空腹感に襲われる。

 

 

ちょっと休憩を取ってから、ハンニバルの上映を始めよう。

がんばれレクター博士。

愛してるぜ。

 

 

 

3/13(水)  21:00

ハンニバルを見終える。

芸術性のある映画は見ていて楽しい。

見ていると心の奥の方でむらむらする物がある。

まぁ、これは世間一般には空腹感と呼ばれる物かもしれないが・・・。

 

 

ところで、おかしな事態を引き起こしてしまった。

以前、ハンニバルを映画館で見たときには気持ち悪くなって、

しばらく焼肉屋には行きたくない、と

思ったほどなのに今回は違った。

 

レクター博士が脳みそを調理しているシーンを見て

とてつもない食欲を感じてしまった。

今なら人肉でもなんでもいいから口にしたい。

脳みそ? 膵臓? 照りのある肉?

何でもいいから食いてぇー!

カニバリズム萌え。

 

 

 

 

 

空腹感がある一定のレベルを超えると、胃が痛くなる。

コレをごまかすために、水を飲んでいるのだが、

もう今日の分の水が無くなってしまった。

 

今日の残りの飲んで良い水は、今、目の前のワイングラスに入っている水だけだ。

なんとかこれをだましだまし飲んで今日を生き延びてやる。

今までの経験からすると、

眠って目が覚めると、かなり空腹感がごまかせるのだ。

 

体重計測  55.5kg。

 

 

 

3/13(水)  23:00

シャワーを浴びる。

 

浴びた後、おそろしく水が飲みたくなる。

しかし、あと50mlくらいしか残っていない。

今飲んでしまうと次に腹が痛くなったときに大変だ。

もうちょっとの間、残しておこう。

 

 

ちょっと、今、背伸びをして振りかえったのだが、

ウイスキーが目に映ってしまった。

くそー。

酒が飲みてぇー!

今なら南アルプスの天然水があるから、おいしい水割りが飲めるけど、

今は断食中だ。

そんな泣き言は許されない。

 

でも、オレって、今、何をやっているんだろう。

断食だよな。

何のタメにやってるんだっけ?

あぁ、おいしい「おにぎり」を食べるためだったんだ。

思い出したよ。

 

 

あと丸1日生き延びれば、待望の15日が待っている。

あと少しだ。

がんばろー!

 

 

 

まだまだ続きます。

 

 

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